デスゲーム

「はあ、教えてやるから離せ。強く締めすぎて胸あたってるっての」


自分の懐を見て咄嗟に離すが、顔がみるみる赤くなっていく。こいつ天然なのか何なのかよく分からねえ。


「うぅ、すいません。……携帯貸してもらえます?」

「ほらよ、後は勝手にしろ」


柊の手の平にポフッと投げ渡す。すると熊のストラップ人形をジッと見始めた。


「かわいいなあ。清水君は熊が好きなんです?」

「御守り。ある人がくれたんだ」

「へぇー。恋人ですか?はい、交換完了だよ」


丁寧に両手で返してくる。ドームの天井の穴から月明りが降り注ぐ。


「恋人……らしい人かな。これ以上は有料で」

「あ、しらばっくれましたね。…まあいいです。また電話しますね」


ようやく遊具から脱出できた。すると同時に柊に裾を摘まれる。


「…どうした?夜が怖くて帰れないのか?」

「……そのまさかです、って言ったらどうします?」


はは、こいつ…。苦笑いの柊にあざけるような視線を送る。


「そんな意地悪しないでください。またさっきの人に会ったらどうするんですか?それに夜道は苦手です。闇に引き込まれそうになりますし…」