「おい・・・」 部屋に入ると、思わず立ち止まってしまった。 さっきまで機嫌を損ねたお姫様が、ベッドで寝ているから。 「はあ・・・」 ため息をつき、美咲に近づく。 ドキン 不覚にもときめいた。 美咲の寝顔は幼い頃と変わらなくて。 でも、体だけ色っぽくて。 髪を撫でたくなる。 ゆっくり手を伸ばすが、止まった。 美咲の顔に、涙を流した跡があったから。 「訳わかんねぇ」 いつもこうだ。 美咲のことになると、俺は振り回される。