遠くて温かい

力いっぱいに駆を押しやると、意外と簡単に解放された。

ちょっと寂しく感じるのは、わがまま…なのかな。

「なぁ。やっと一緒にいられるんだ。不安に思う事はするなよ」

「…」

「今まで我慢してた以上に美乃と幸せになりたいんだ。余計な心配させんな。他の男なんて無視だ、無視」

淡々と話す駆の気持ちは私も同じ。

ようやく手に入れた幸せを手放したくない。

「…大好き」

言ってしまって…照れくさくて

『へへっ』

と笑う私のおでこに一発デコピンすると

「…知ってるよ。ずっとな…」