遠くて温かい

私の肩に頭を預ける駆の吐息を感じる…。
時々溜息まじりに聞こえる声は、私の心を刺激して…ここが会社近くの通りだって事を忘れそうになる。

「女が一人で並んだりすんなよ…。たちの悪い男になんかされたらどうするんだよ」

はぁって溜息を吐く駆の言葉に…少し…ううん。

かなりぐっときた。

入社して一年ちょっと。

お互いがお互いを好きな事をちゃんと気付いてたけど…。

二人ともそれを口に出せない問題を抱えていた。
何度も泣いて、会社も辞めようかと悩んだけど…。