「あたしのお父さん、この学校の理事長やねんっ!」 「は……?」 さっきより緩んだ手を勢いよくどけて、拓人を睨んだ。 「あたしのお父さん、あたしに甘いから…。あたし、どーしても拓人と歩夢、木鐘となりたかってん!」 多分顔赤いよな…。 と思って拓人に背を向ける。 手首を掴むとすごい速さで脈を打っていた。 「ほんまにゆーてるん?」 「ほんまっ!もーっ!あたし教室戻るでな!遅れんよーにきいや?」 ダッシュでその場を逃げ出す。 あの低い頭に響く声…。 あれを聞いた日からあたしは拓人に恋した。