外に出ると雪の粒が大きくなり、髪の毛に、コートに落ちてきても白くなるだけだった。



本格的に降って来たなぁ。



待ち合わせした時間よりも、気温が下がってきたせいか、手の指がかじかんで冷たくなり、ふぅっと息を吹き掛ける。



先輩は相変わらず、無表情のままだし…寒くないのかな。



「ケーキを予約しちゃうだなんて、先輩は、最初から一葉をおうちに呼びたかったんですねっ!!一葉は嫌われてるんじゃないかと思い、心配でした…」



「うちに呼びたかった訳じゃない。ただどこ行っても混んでるし、受験もあるから…外に居て、風邪ひきたくないだけだ。

お前、ケーキ食ったら帰れよな…」



「嫌ですよっ!!

だって、一葉、“彼氏のお家にお泊まりしちゃうね”って言ってきちゃいましたぁっ。そしたら、お母さんもお父さんもフレンチのディナーに行くって言ってましたよ?」



「…そりゃ、お前をディナーに連れてきたくないだけだろっ!?」



先輩は渋い顔をしているけれど、今日は先輩と居たいんですよ。



「とにかく、帰れよな…送って行く…かっ、おわっ、危ねーなっ!!」