「俺さ、血の繋がってるのに本音が言えなくなった家族が嫌で逃げたんだ。

家から通うには遠くて通えない高校をわざと選んで、迷惑かけて…。

小さい頃は本音も言えたのに、父さんの浮気が発覚してからは…

皆、よそよそしく取り繕って、いつの間にか、一人ぼっちの気さえしてた…」



本音を言えない家族って、精神的にもとてもキツイと思う。



先輩は家族から逃げたんじゃない、距離を置いただけ。



全てを時間が解決してくれる訳じゃないけど、時が経てば、きっと…

大好きな居場所に近づくハズだよ。



血を分け合った家族だもん、理解しあえないハズはない。



「一葉は先輩の為なら…どこにだって飛んで行きますし、先輩は一人なんかじゃないですよっ」



「…一葉っ、一葉」



先輩が悲しみを消すかのように、一葉を強く強く抱き締める。



泣きたいけど、これ以上は泣けないなら…

悲しみを一葉に染み込ませて良いですよ?



一葉は先輩の全てが好きだから、喜びも悲しみも受け入れるから…

誰にも言わないから、感情を剥き出しにして?