茹でダコみたいな顔が更に火照りを帯びて、耳まで真っ赤になってるのが自分でも分かる。



胸はバクバクしていて、心臓がいつ止まってもおかしくはなさそう…。



「…なんてね」



ボソリ、と呟いた先輩はベッドに寝転がる。



「先輩の馬鹿、馬鹿っ!!期待させないで下さいっ!!」



寝転んだ先輩に枕を投げ付けてやろうかと思って、振り向くと…



両腕をクロスして、顔を隠している先輩の頬に流れ落ちた、蛍光灯の灯りが反射した、丸い粒…、



涙が見えた。



「一ノ瀬と居たら…子供の頃を思い出す。

俺にも真っ直ぐで、怒ったり、笑ったりしてた時期があったな、ってさ…」



先輩はまだ酔ってるのか、いつもは強気な態度しか取らないのに、弱気を吐いた。



同世代の男の子の涙って、初めて見た。



先輩はずっと、心に何かを抱えてきたんじゃないのかな?



普段は我慢して誰にも言えない本音。



一葉になら話してくれますか?