君はここにいた。



「アマネも行くぞ」


 槝木が、そっと彼女に手を差す。


「あ、うん」


 彼女は躊躇せず、差し出されたその手に自分の手をのせた。



 歩き出しても、その手は繋いだまま。




 あぁ、そうか。


 もしかしてコイツ等は「カップル」ってやつなんじゃないか。


 そうだとしたら、何てお似合いのカップルだろう。





 羨ましく思いながら、俺も二人の後に続く。
 カップルの後ろを歩くのが、こんなにも恥ずかしいのだと初めて知った。