君はここにいた。



「…バーカ」


 槝木が立ち上がり、地べたに座ったままの彼女を見下ろした。


「あ、ありがと…」


 彼女が、恥らいながら呟く。


 その仕草に、俺は少しだけドキッとした。


「浅葱も大丈夫か?」

「ふぇ?」


 不意に、槝木に声をかけられ、思わず変な声をあげてしまった。

 それを見て、槝木がバカにするように見下ろしてくる。
 

 恥ずかしい。