君はここにいた。



「…べつに。俺ん家は、そんなんじゃねーよ。てか、浅葱には関係ないだろ」


 槝木が冷たく睨んでくる。
 そう言う口調は、かなり怒っているようだった。
 

「ちょ、なんだよそれ。人には言わせといて」

「俺は、アンタの家庭の事情まで聞いた覚えはない」

「はぁ?」



 頭きた。

 何なんだよ、コイツ。


 勝手にキレたりなんかして。

 意味わかんねー。



「タオル、ありがと。俺、もう行くから」


 立ち上がり、槝木にタオルを投げつける。


 これ以上、彼に付き合ってられるか。


「じゃぁな」


 俺は、フェンスを飛び越え、足早に屋上を去ろうとした。


 ドアの取ってに手をかけたときだった。