君はここにいた。



「あ、そうだ。アンタ、名前は?」


 え?


 彼は、さっきまでの曇った表情とは違って、陽気で軽い感じに笑ってきた。

 だから、思わず驚いてしまった。



「え?あ…、浅葱」

「アサギ? 漢字でどう書く?」

「漢字? 浅草の『浅』に、ネギ」

「ネギかよ。俺、ネギ嫌い」


 彼が真剣に嫌そうな顔をするもんだから、俺はついつい声にだして笑ってしまった。