君はここにいた。



「ここ、めったに人来ねーんだよ。鍵かかってるしな」


 彼に引っ張られて着いたのは、初等部校舎の屋上だった。

 小さな時計台と緑色のフェンスが立ってるだけで、他に何もない。一面が空で真っ青な、そんな所だ。


「来いよ。こっち」


 “これ以上行くな”という意味で立てられたのであろうフェンスを、彼は軽々しく飛び越えた。

 続いて、俺も不恰好にフェンスを飛び越える。


 フェンスの向こう側は、思ったより広かった。幅4メートルほどはある。
 そこには、何故か青いベンチがおいてあった。


「案外、いい眺めだろ」


 そう言って、彼がベンチに腰掛ける。