キレイな声だった。 まるで楽器が奏でる旋律のように。 すべてを包み込むような、もしくは、飲み込むような妖しさも感じる。 「立てるか?」 目の前に、白く細長い手が差し出された。 俺は、ゆっくりと顔を上げた。 目に泥が入って、視界が悪い。それでも、目の前に立つソイツの姿は見えた。 同じ制服を着ている。バッジを見ると、同じ色だった。つまりは、同い年。 うわ。 なんだこいつ。 めちゃくちゃイケメンじゃん。 思わず声に出しそうになった。