「…アンタは?」 そういえば、と彼が僕の方を見る。 「何が?」 「名前だよ」 「あぁ。 宇佐見 凪(うさみ なぎ)」 僕は、彼…カラスとは違って正直に答えた。 何も隠す理由はない。 「ふーん」 素っ気無いリアクションだった。 一瞬、沈黙が走る。 しばらくたって、カラスはクルッと身体ごと僕の方を向いた。つまり、横向きに寝返りを打った。 カラスがニヤリと笑う。