君はここにいた。



「どうせなら、もっとカッコイイ鳥にしろよ」

「カラスだってカッコイイよ」


 僕はそう思う。


「どこが。あんな汚い鳥。…アンタ、趣味悪いだろ」


 彼がそう言って、皮肉まじりに鼻で笑う。

 僕も小さく息を吐いてから笑って見せた。


「僕もそう思う」

「自覚あんのかよ」

「まぁね。―― カラスはさ、誰よりも孤独を知っていると思わない?」

「は?」


 彼が不思議そうに顔をしかめる。


 僕は小さく笑って見せた。一回大きく伸びをして、それから草原の上に寝転がる。
 生い茂った草が地肌に触れる。なんともくすぐったい。



 一呼吸おいた。