そして、すぐに息を呑む。
それは、傷ついたカラスだった。
足から血を流し、それでも不恰好に羽を動かして、また大空を飛ぼうと必死になっている。
それにしても…
いつもは「汚い」と言っていたカラスだったが、よく見ると黒く艶のある毛並みに、青い透き通った瞳をしていて、思わず「キレイ」と呟いてしまいそうになった。
やはり、怪我で苦しいのだろう。その青い瞳は微かに潤んでいた。
僕は何することもできず、ただ両手を合わせて「怪我が治りますように」と願うだけだった。
それ以来、僕はあんなに毛嫌いしていたカラスを憎めなくなってしまった。少しばかり尊敬もしていた。


