「…さて、どれにするか」


 彼がコンビニの入り口前にある傘たてをまじまじと見つめる。

 傘たてにはいくつかのビニール傘が置いてあった。


「どれにするか…って、まさか盗もうとか考えてないよね?」


 僕は思い切って聞いてみた。

 すると、彼は一瞬驚いた顔を見せて、それから、可笑しそうに声をたてて笑ってみせた。


「そのつもりだけど」

「だ、駄目だよ!」


 すぐに僕が反論する。

 すると、彼はまた驚いた顔して「なんで?」と言い返してきた。


「なんで、って言われても…」


 返答に困る。答えを探るようにして俯いた。