カラスの住む部屋は、狭くも広くもない一人暮らしにはちょうど良いくらいだ。
テーブルや棚、小物までこだわりがあるようで統一されていて、このアパートの外装に負けないくらいにおしゃれである。余分な物は一切なくどこか簡素で、しかしだからこそ落ち着きもあって、とても彼らしい部屋だと思う。
「お前ら、仲良かったの?」
部屋の隅の窓際に置かれたベッドに腰かけるように座って、カラスが立ったままの僕を見上げる。
その目が「座れよ」と言っている気がして、僕はカラスの斜め前 ―― テーブルの横に腰を下ろした。
「同じクラスなんだ。でも、仲良いわけじゃないよ」
キッチンの方にいる浅葱を見る。
さも自分家のように、慣れた手つきで飲み物などの用意をしていた。
「じゃあ、なんで一緒にいたんだよ?」
カラスは首をかしげて、僕と浅葱を交互に見た。
「それわ……さっき不良に絡まれてるとこを助けられて」
「ふーん」
僕の答えにカラスは短く相槌を打って、しばらく何か考えるかのように顎に手をおいて見せた。


