君はここにいた。




「え? あれ、知り合い?」



 同じく驚いた様子で、浅葱が僕とカラスを交互に見る。 


 そしてすぐに、状況を読み取ったのか手をポンっと叩いた。



「あぁ、ハルが言ってたウサギって宇佐見のことだったのか」



 浅葱はそう言うと、親しい者同士がそうするように、僕の肩に手を回してゆさゆさと揺らしてきた。


 慣れない僕は、驚きと戸惑いですぐに逃れようとする。



「なんだよ。じゃあ話早いじゃん。宇佐見あがれよ!」



 浅葱が嬉しそうにニカッと白い歯を見せる。



 僕の肩からするりと抜けると、履いていた靴を大雑把に脱ぎ捨てた。
 そのまま部屋の奥へと進んでいく。



「あがれよって、ここ俺ん家だから」


 その様子を見て、カラスは深々とため息をついて見せた。


 脱ぎ捨てられた浅葱の靴を綺麗に揃えて端に寄せると、それから僕を見て小さく微笑んだ。


「早くあがれよ、ウサギ」


「あ、うん」