「わっ! あ、あれ、姫来てたの?」 浅葱が驚いたようなをあげる。 すると女の子は、鋭い目で浅葱をにらみ上げた。 「凌介が来るから帰れ、って! 凌介君も邪魔すんなぁ!」 女の子はそう叫ぶなり、わざと浅葱の肩にぶつかるようにしてすれ違い、そのまま走って階段を降りていった。 すれ違う際に一瞬だけ目が合った。 やっぱり。 前に公園で見たあの子だ。 「俺、邪魔する気はないんだけどな」 浅葱が不服そうにボソッとつぶやいた。 そして、さっき女の子が出てきた部屋の中に入ろうとする。 僕も後に続いた。