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「―― ついたよ」
再び走り出したバイクは10分ほど走って、深緑色のおしゃれなカフェの前で止まった。
2階が貸部屋になっているようだ。
カフェの裏側に外付けされた白塗りの階段がある。
駐輪場の隅にバイクを停めて、浅葱が階段を上っていく。僕もそのあとに続いた。
「もう知らない! バカ!」
階段を上りきったのと同時だった。突然、若そうな女の人の怒り混じった叫び声が響いた。
一番奥の部屋のドアが、激しい音をたてて開く。
僕らと同じくらいの年恰好の女の子が飛び出してきた。
あれ、あの子はたしか……。


