ウー、ウー。 近くからパトカーの音が聞こえてきた。 「ちっ」 男が小さく舌打ちし、僕を掴んでいた手を放した。 「嗅ぎつけやがったか。運がよかったな、クソガキ。―― 行くぞ」 もう一度僕を睨み付け、男たちが足早に去っていく。 助かった。 僕は、崩れるようにしてその場に座り込んだ。 「宇佐見! 大丈夫か?」 突如、男たちが去って行った逆の方から、今度は聞きなれた声が聞こえた。 ゆっくりと振り向く。