「いや、それはないよ。凌ちゃんには、他に好きな人がいるから」


「じゃぁ、なんで……?」


「たぶん、槝木のことだろうな」


「カシギ……?」



 首をかしげて聞き返す。


 途端に教室が騒がしくなった。
 そこにいた何人かが一斉に「カシギ」とその言葉を口にする。


「中等部までいた同級生だよ。この学園のリーダー的存在で―― 、凌ちゃんの大親友だった」