「……悪い。俺のせいだよな?」


 重々しい空気の中、一人が声をあげた。
 さきほど騒いでいた中の一人だ。


「べつにお前のせいとかじゃねーよ。凌ちゃん自身の問題だから」


 そう言う小宮山も、どこか寂しそうな顔をする。


「ねぇ、浅葱と大倉って仲悪いの?」


 これ以上追求しては余計に重い空気になることはわかっていたけど、聞かずには入られなかった。



 あんな怖い表情をした浅葱なんて、初めて見たんだ。



「今は、な。―― 昔は、仲良かったんだ。俺と凌ちゃんとアツの3人でよく遊んでた」


「じゃぁ、その藤村さんって子のことが浅葱も好きとか?」



 浅葱は「あまねちゃん」と親しそうに、呼んでいた。


 自身も好きだったのに、大倉にとられたのか。