君はここにいた。



 とにかく、早く終わらせよう。
 小さく息を吐き捨て、机に置かれたプリントを手に取った。



「…あれ」


「どうした? 宇佐見」


「アサギって……こう書くんだ」



 手に取ったプリントには、「浅葱凌介」と書かれていた。
 そういえば、漢字でどう書くかを知らなかった。


「そうだよ。知らなかったの?」


「うん」


「浅草の浅に、ネギ!」


「ネギかぁ。僕、ネギあんま好きじゃないな」