放課後――、 廊下にあるロッカーの前で、鞄に持ち帰る荷物を詰め込んでいるときに、 遠くから担任の自分を呼ぶ声が聞こえた。 「おー、宇佐見。ちょうどいいとこにいた」 そう息を切らしながら、小走りで駆け寄ってくる。 「なんですか?」 動いていた手を止め、目の前に立った担任を見上げる。 菊池先生―― 体育科の担当だ。 体育の先生=熱血系という方程式のいい例となる、そんな人だ。