君はここにいた。



「お兄ちゃん!」


 ちょうど遊んで帰ってきた子供達が、槝木の様子に気づきあわてて駆け寄ってくる。


「お兄ちゃん!大丈夫?」


 子供達が槝木を囲む。小さい手で槝木を揺すっている。
 なかには泣き出す子供をいた。


「だ…大丈夫だ…」


 それを見て、聴こえるか聴こえないかくらいの小さな声で槝木が口を開いた。
 依然として呼吸は乱れたままだが、子供達を安心させるように小さく笑っている。


「どこが大丈夫なんだよ!家まで送ってく」



 嘘笑いが見え見えなんだよ。 



 槝木の腕をつかみゆっくりと立たせる。
 しかしすぐにその手が払われる。


「いい!」


「よくない!」


「…おせっかい野郎が」


「はいはい、わかったから。行くぞ」


 槝木は、苦しさでゆがませたままの顔で睨みあげてきたが、おかまいなしに再び槝木を腕をとった。
 それから子供達の方を見る。


「家まで案内してもらえるかな?」


「わかった!」