君はここにいた。




 槝木が、苦しそうなうめき声をあげてうずくまっている。
 胸のあたりを手で押さえている。



「え?ちょ…槝木?」



 あわてて駆け寄り、槝木を覗き込む。



「どっか痛むのか?」



 返答がない。
 つらそうに顔をゆがめて、ひたすらうめき声をあげている。
 呼吸も乱れている。



「おい!槝木!」



 どうしよう。



 こんな場面に遭遇するのは初めてで、どうしていいのかわからない。
 助けを求めるように、あたりを見回した。