君はここにいた。




「浅葱は…お前、彼女できたら一途だろうな」



 槝木がギターをケースにしまいながら、小さく笑ってそう言う。



「大事にしたいとは思う」


「そのほうがいいよ。恰好いい」



 俺は槝木と違って、複数の女の子と関係を持てるほど器用じゃない。



 というよりも、いまだに彼女ができたことはない。恋愛ど素人なんだ。
 好きな子ができたり、告白されたり、なんていうのはあった。
 だけど、付き合うまでに至らなかった。