やがて曲は終わった。 顔をあげたそいつと目が合う。 以前として固まったままの俺。 しばらく無言のまま、そいつと視線を交わした。 「…惚れた?」 小さくふきだした笑い声のあとに、聴きなれた声が呼びかける。 そこでようやくハッとなって、思わず苦笑いした。 「ごめん、槝木。俺そんな趣味ないから」 「だよな。よかった。男に惚れられたらどうしようかと思った」