そういえば、今こうして平然と僕の目の前で寝転んでいる彼との出逢いも、ほんの些細な事がきっかけだった。
1ヶ月ほど前の春休み、僕は再び親の仕事の都合で埼玉は川越市に引越ししてきた。
川越はそれなりに有名な街なようで、「蔵造り」の広がる中心地には時折観光客も見受けられる。僕ら家族もまた、初日3日間ほどは川越観光をしていた。
僕としては寺やら神社やら城跡なんかより、「喜多院の龍」だとか「ダイダラボッチ」だとか「とうりゃんせ」だとか…そう言った民話や伝説の方が興味深かったのだが。
なかなか良いところだ。
直感的に僕はそう思った。


