もしあの時僕が「お母さん」と呼んでしまったのが“チビデブ”ではなく、長身で細身で申し分ないくらい美人な“ミキティ”先生だったとしたら。

 僕は、まだ……まだマシな人生を過ごしてきていたかもしれない。


 普通に「友達」と遊んだり、普通に「恋」なんかしてみたり。俗に言う「青春」というものを普通に楽しんでいただろう。


 本当に些細な事だ。
 きっかけは、ほんの些細な事に過ぎないのだ。