おさなな・ぺっと

ほとんど何も見えなくなった分、かわりにすごくあたたかい何かが顔にあたる。


健太だ。
うーんと、どの部分にあたっているのかはよく分かんないけど。

だいたい胸くらいかな?


健太はあたしを抱き寄せて、頭を何度も軽くたたいてくれた。


「悪かったな…ちょっと意地悪すぎたよな」


あたしは黙って健太の体温を、ただ肌で感じていた。
人って、こんなにあったかいんだ。


嘘みたいだよ。
心がこうやって通じ合ったときに、人ってもっともっと、あたたかくなるんだね。


「大丈夫だから。俺別に、T中行こうなんて思ってないし。I中行くから」


何度も何度も頷いて、健太がそばにいることにものすごい幸せを感じて。
あたしはどうやら、その場で眠ってしまったらしい。