私は神を信じない

それからは毎日真面目に働いた。家ではできるだけ明るく過ごした。
「お前たち、高校に行きなさい」
「なんで急に高校なの？店手伝う時間減っちゃうよ」
「それでいいんだよ、まだまだ学校で学ぶ事はたくさんあるからのぉ」
「でもお金だってかかるし今までちゃんと学校なんて行った事ないんだよ」
「じゃぁこれからちゃんと行けばいい、お金の事は心配いらんよ」
「じいさんの言うとおりじゃよ、若いんじゃから社会勉強も必要じゃ」
「どーする杏子」
「おじいちゃんおばあちゃんいつか絶対恩返しするからね」
「杏子それは違うよ、あんたら二人が元気でいてくれる事が老いぼれ二人にとっては最高の幸せなんだよ」
「ヤッホー、杏子高校だぁ高校だぁ、真面目に行こうね」
「当たり前だよ、昔みたいな事は絶対できないよ」
初めて美佳以外の人間の事を信じる事ができた。
私は幸せになれるんだと初めて幸せというものを感じた気がした。