短い制服のスカートから伸びた白く長い足が、僕の目の前でゆるりと組み換えられた。


眩し過ぎるその光景に目を細めつつ、彼女の紅い唇をちらりと見ると、彼女は僕の思考を全て見抜いているかのようにニヤリと嗤う。


「今日はまた、随分と色っぽいですね」

先に言い当てられるのは、なんだか恥ずかしいから。

僕は素直に白状した。

「これ?」

彼女は言いながらスカートの裾を摘む。


「規則違反。と言いたいのかしら」

「いえ。僕としては、もっと短くても結構です」

それは全くの本心。

「ふうん」


彼女は興味深そうに瞳の色を濃くして、僕のかっちりと着込んだ学ランの襟に指を掛けた。


「規則、というものは破りたくなるものでしょう?」

まるでそれが当然だとでも言うように、彼女は語る。

そしてそのまま、物凄い力で手を引いて、ブチリと音を立て、僕の襟元は涼しくなった。


「将来の為に、あなたも少し規則を破った方がいいわ」

彼女は楽しげに歩き出す。


破ったのは制服なのだが、そんなことを言ったら彼女の機嫌を損ねてしまう。


僕は何も言わずに黙り込む。


彼女の言うことは、いつも良く分からない。


彼女はゆらりと立ち上がって、


「帰りましょう」


そうすることにした。