目が覚めると、
タケシは、
あの海岸に横たわっていました。
ガヤガヤと、
周りは海水浴を楽しむ
人々で賑わっています。

「戻った…、戻ったぞーっ。」

ついつい、
喜びの雄たけびをあげると、
周りから
冷ややかな視線が
飛びました。

「あっ、やべ…。」

その声を聞いてか、
一緒に、
海水浴に来ていた、
コウイチが
駆けつけて来ました。

「おーいっ、
 タケシーッ、
 どこ行ってたんだよーっ、
 心配したんだぞーっ。」

「あ、ああ、
 ちょっと、一人で
 泳いでたら、
 溺れそうになって…。」

停止していた腕時計を見ると、
今は正常に作動しており、
時間は、
午後二時二十分、
溺れた時から、
五分程しか
経過していませんでした。
タケシは
ボソッ、と呟きました。

「俺が、経験した、
 あの停止した世界、
 異星人、
 全部夢だったのかな…。」

コウイチが
タケシの顔を下から見上げ、

「お前、
 何ボソボソ言ってんだ?
 溺れて
 頭やられたか?」

タケシは、
慌てたように、

「あ、ああ、かもな…。」

そこに、
ユウコが走ってきました。

「おう、ユウコ、
 お前まで、
 どこ行ってたんだよ?」