「じゃ、失礼しましたー!」


そう言ってご機嫌で進路相談室を出る俺。


「あ、朝倉くん…どうだった?」


目の前に現れたのは井川 雛子(イガワ ヒナコ)という同じクラスの女子である。


「ん?
あぁ、あいつの面談にしてはすんなり終わったよ」


俺はハハッと笑いながら言った。


「そうなんだ…。
あたし、先生に反対されそうで怖くて…。」


井川は俯きがちにそう呟く。


「え?
大丈夫だろ。
井川頭いーじゃん。」


井川はクラストップの成績を持つ女子で、かなり有名な大学を狙っているらしい。


でも俺より頭いーからなぁ。


そんなことを考えていると、井川は顔をあげて少し笑った。


「朝倉くんがそう言ってくれたから、少し安心した。
ありがとう。」


そう言って進路相談室に入る井川。

それをじっと見守る俺…


って、
あれ?


なにコレ?


「恋ですな。」