「で?
どこに就職する気だぁ?」


田部は持っていた大学の資料をおき、ハローワークの資料を持ち出す。


「ファームランド!
俺、ファームランドで働きてーんだよ!」


「ファ…?ランド?」


田部は首を傾げて考えこんでいる。


ちなみにファームランドと言うのは、この地域にある大きな牧場のことである。


「俺さぁ、昔っから牧場に憧れてたんだよな~!
牛の乳絞りとかしたりよ、あと、羊!
俺羊好きなんだよ!
なんつーか、もう、羊になりたいぐらい好きなんだよ!
あとさ、世話すんのも好きなんだよ。
弟と妹の世話で慣れてるし!
あ、まぁ、動物の世話はしたことないから分かんねーけどな!」


俺は楽しくてついベラベラと喋ってしまった。


やっべ…
田部、耳悪いからこんな弾丸トークで全部聞き取れたのかな?


俺がチラッと田部を見ると、田部は納得したように頷いていた。


「ファ~ランドだな!
ひつじ、しつじな。
いや~お前が、こんな仕事をしたがるなんてな~。
まぁいい!面接の手続きしとくからな~。」


そう言ってペラペラと資料をめくる。


「なんだ、わかってんじゃん!
まぁ、今どきのやつは牧場で働きたがらねーからな!」

俺は有頂天になって豪快に笑った。


…俺はこの時、とんでもない過ちに気付くことが出来なかったんだ…。


有頂天すぎて。