「手、出したらもう口聞かなくていいしさ。」 少しは勝手に話を進められる方の身にもなってほしいものだ。 「手出す気なんてさらさらないよ。泣かせてみたいとは思うけどね。」 もともとそんな気がこいつにあってわざわざこんな所までこないだろう。 「…入れば?」 そう言うと奴はにっこりと笑って風に髪をなびかせた。 「さすが。水谷サン、物分かりがいいね。」