あたしは泣きながらゆっくり話し始めた。


「あのね。アタシのママがアタシのこと
忘れちゃったんだ・・・。」


燵夜はどーゆーこと?って顔をしてた。


「忘れちゃったって?」


「アタシのこと覚えてないの。」


燵夜はますますわかんないって感じ

「覚えてないって何で?」



「わかんない。でもママ今日階段から
落ちたらしくてその時に忘れちゃったのかも・・・」



「他の家族の事も覚えてないわけ?」


「ううん。あたしだけ忘れちゃった。」



「え・・・。蜜柑だけ・・・?」



「うん。あたしだけ。
あたしってさぁ中学で荒れてたじゃん?
だからママは結構疲れてたんだ。
それで今回の事故で一時的にあたしのこと
忘れて休んでるってパパは言ってた。」



「そっか。じゃあいつかは思い出すかもしれないんだよな?」




「わかんない。でもそう信じて待つしかないの。」


こればっかりはあたしにもどうしようもない。
ママのこと信じて待つしかないから。