―――
『未羽香!がんばって~』
大好きな水色のTシャツに合わせた紺色の短パン。
細長いラケットを持って、声を張り上げる友達に手をふった。
ただの練習試合でも、負けず嫌いの私だから、本気になるのは当然のこと。
試合が始まって、私ばかりが点をとっていく。
なんだ。
たいしたことないじゃん。
・・・少し、気をぬいた。
自分の学校だって、先輩にも1位を取っちゃうくらい私はバドミントン馬鹿。
いつもバドミントンのことばかりが頭を埋める。
けど、走るのは嫌い。
中学校の練習も嫌い。
たった1つの楽しみは、大会と練習試合と、私のお父さんがコーチのバドミントン少年団。
私って、楽しいことしかしたくない人だけど、ちゃんと部活を続けてるのは、他の人から嫌な目で見られるのをさけるため。
友達を敵に回したら、何が待ってるか、わからないから。
後ろ、後ろ・・・
次は、前・・・
っ!
違う!
また後ろ・・・
私は決め動きをして、膝をいっきにねじってしまった。
ごりっ・・・
いやな音が膝の中を駆け巡った。

