天才ドクターと天然ちゃん







『そっか…頑張ったね…』



びしょ濡れなのに抱き寄せてくれる雪…。




『雪…私間違ってるかなぁ…?』




雪のタオルで涙を拭う。




『私は…好きな人のために身を引くことはすごいことだと思う。けど間違ってるか、間違ってないか。って聞かれるとわからない…。』




雪はすごく遠くを見つめて言った。




それって私が間違ってるかもしれないってこと…?




『なんでわからないの…?』



『…だって私は人のことを考えて身を引くほど大人じゃないから。自分を犠牲にしてまで相手を思うほど大人じゃないから…かな。』



ずっと一点を見ていた雪がこっちを向いて微笑む。