ピクリ、リオンがわずかに反応したのを凜音は見逃さなかった。 「………どうしたの?」 「シーッ静かに」 片目を開けてジェスチャーすると、耳に手を当てた。 耳を澄ます。だが、凜音には何も聞こえない。 しばらくして、リオンが「ふーっ」と息をはいた。 「どうやら、マヤカの縄張りにいるらしいな……」 「マヤカぁ?」 ───何よそれ。 凜音は得体の知れない名前に怖くなり、リオンの服の袖を掴んだ。