アハハと笑いながら頭を掻く母。


その手は茶碗のかけらを握りしめている。


「馬鹿っ! 手ぇ怪我すんじゃねぇか!」


「えっ?」


次郎が茶碗のかかけら達を集め、太郎が母をそこから素早く避難させた。


「ありがとう……」


あまりにも手慣れた二人に驚きながら母は素直に感謝した。


「別に……」


「いつものことだし」


「え? いつものことなの?」


きょとんとする母。


呆れている息子二人。


「母さんもう忘れたの? 母さんが飯作る時とか皿洗う時とかいっつも何かしら割ってるじゃん」


「そう……だったっけ?」


「あーもう助けてやんないからな! 今度は破片で手を血だらけにしてろ!」