「あの、あたし…」
「知ってる」
「え?」
「一河がスキなんだろ?」
「わかってるなら…」
「だからだよ」
「は?」




なにこの人…。
意味わかんないよ。




「一河がライバルって燃えるんだ」
「は、ぃ?」
「あいつから奪ってみせるよ」
「奪ってみせるって…付き合ってないけど」
「うん、あいつへの思いを俺に変えてやる」





どっからそんな勇気出てくんの?
無理だと思うけど。
篤希以外眼中ないし。





「それだけだから」
「…。」
「教室まで送ってやるよ」
「…。」






変な人……。
無駄なことしてくれるよね!
ってあたしも人のこと言えない。





教室に着くと同時に鳴ったチャイム。





「またね、尾上さん」
「…。」




軽く頭を下げて、
篤希の元へと急いだ。