ハッとした時は
チャイムが鳴ってた。





「どっかいてぇのか?」
「…ううん」





篤希のちょっとした優しさが…
今のあたしには辛いよ。





数分前までのあたしは、
まだなんにもわかってなかった。





隣の篤希のこと…。
わかってたはずなのに、
一番大事なこと…
わかってなかった。






「鈴夏が病気とかないか!」





と笑ってる篤希に
数分前のあたしなら…
絶対抱きついてる。





だけど…
もうダメだよ。



気づいてしまった以上…
そんな行動はできない。