中学校の校舎の周りに奇麗に咲き誇っている、桜たち。優しい春の風とともに舞い散ってい

る。そんな桜の中を友達と走り回っている生徒達。

 桜田明日香は、桜の花びらを小さく白い手に取り、優しい春の風を感じているものの、他生徒

とともにこの優しい風の中を、走り回ろうとは一瞬たりとも考えていないみたいだ。

 それは、生まれてから一度たりとも、走った事が無い明日香にとってはもう普通の事だったの

だったからで、その状況は今も続いてるからだろう…そして、これからもずっと……。