初雪が、温もりでとけたとき




由季ちゃんと別れたなら、もう丁寧にブローをかける必要もない。



――キーンコーンカーンコーン



「はーい、静かにしてねー。今日からこのクラスを受け持つことになりました。糸瀬戸湖都といいます。」



え…?
なんだって?
名前の部分が聞きとれなかった…。



「糸瀬戸は呼びにくいから、湖都先生って呼んでね。」



あ、湖都先生か…。
なんだかめずらしい名前だなぁ。



「今日は午前授業なんだけど…とりあえず学級委員決めようかな。
はいっ!やりたい人~!」



湖都先生の柔らかくもキレのある声が、むなしく消えていく。
当然、やりたい人なんていない。



「そーよねー先生も学生時代、やりたいなんて思ったことないからさぁ。
んじゃ、くじ引きにしよっ!」