雪乃が足を止めると、千佳ちゃんは柱にもたれかかった。



「何から話せばいいのかな…?」


「すべて話しなさい。」



雪乃は一瞬怯んだが、ブンブンと首を振る。
そして昨日のことを思い出しながら…ううん、必死に言葉にしながら話した。



「………そう、分かったわ。」



千佳ちゃんは、聞き終わると優しい表情でポンッと雪乃の肩を叩いた。
すると、自然と涙が溢れ出して…昨日は出なかった大粒の涙が、廊下に落ちた。
コンクリートの渡り廊下に、ボンヤリと滲む涙。


きっと、由季ちゃんを想って泣く、最初で最後。